🏥医療機関は、どこも同じではない🏥

医療機関は、ほんとに、その人にとっての、<あたり・はずれ>はあります。

 

少し前に、実母の膵がんのことを書きましたが、あれには、まだ、後日談があって、主となる主治医は、当時の癌治療最先端の成人病センターだったのですが、抗がん剤が始まって、げぇーげぇー吐き気と嘔吐で苦しむ母を、これは成人病センターで診るものではないので、近隣の一般病院へ行ってほしいと・・・。

 

あまりの吐き気と嘔吐に、即入院となり、点滴加療が始まったのに、一向に治まらない。

思わず、どのような薬を点滴しているのか担当医に聞いたのですが、普通の制吐剤を点滴されていました。

信じられません。当時より遡る15年前に私が大学病院で研修医をしていたときに、すでに、抗がん剤専用の制吐剤が発売されていたのに。

話を聞いてみると、放射線科の先生が、独学で内科も診ているとのこと。

内科医なら、当たり前に知っている、抗がん剤には専用の制吐剤があることを知らない。

 

年配の男性医師だったので、私が言っても聞いてもらえない可能性があるので、医師の実兄に、母の転院をお願いしてくれるように頼み、成人病センターへ移しました。その時、安堵して、号泣した母をみて、本当に、申訳なく、また、世の中、こんなにも<なんちゃって内科医>がいることに、絶望しました。

 

内科疾患は内科医に、皮膚は皮膚科医に、眼は眼科医に、首から上の症状は、頭なら脳外科医に、鼻や耳なら耳鼻科医に、15歳以下(中学生までの)の方は小児科医に、筋肉や骨の異常は整形外科に、心の病は精神科か心療内科に、かかって頂きたいです。もしも、受診先がわからない場合は、当院へご相談ください。方向性をお知らせします。

 

医師は、確かに、どの科も学んでいます。そして、医師になれば、すべての科を診療していいことになっています。でも、それぞれの先生が、人生をかけて、その科目を勉強しているのです。それぞれの先生が人生をかけて学んだ診療・経験を患者さんに享受して頂きたい。それが、ご自身の人生にとって、大きな転機となることがあることを、知ってほしいです。

 

私は、母が病気になるまで、診療する限りは、すべての医師が、それなりに専門とする先生に納得してもらえるレベルで診療をしていると信じていました。そんなこと、ないんです。本当に、ショックでした。そして、自分は、内科以外診ない、そして、内科の中でも、開業医が診ていていいレベル、大きな病院で精査を受けるべきレベルを、大学の友人たちと話をしながら、見極めを間違わないように、日々、努めています。

 

医師としての自分の立場と力量をわきまえる。患者さんは、医師のことを、本当に信じています。私が、ショックを受けた母のかかりつけ医たちのことも、母はまったく恨んでおらず、いい先生だったと、信じて亡くなっています。そういう患者さんが、おそらく、たくさんいることでしょう。患者さんの信じて下さる気持ちに、誠心誠意、応えていきたいと思っています。