振り返ると、シャッターが下りている

今の医療環境の悲惨さを、お伝えしたいと思います。

今は、まさに、なんとかくぐりぬけた道を振り返ると、シャッターがおりていて、もう、後戻りできないという、とても怖い状況です。

 

<マスク>

マスク、もう、全然納入がありません。

当院は、3月までは、毎診察時間全員取り換えを実施していましたが、4月からは、1人週3枚支給、仕事終わりに、アルコールで洗浄、内部には不織布をはさんで、診察時間毎に取り換えて、清潔保持となりました。

<不織布>

不織布の供給もとまりました。通常のものは、まったく、納入されなくなりました。高価な、コットン製不織布を買い足しましたが、あまりに高いので、3袋しか買いませんでした。でも、不安になり、再購入をかけようと思ったら、すでに、翌日には、販売停止になっていました。

<アルコール>

アルコールなんて、本当に入ってきません。当院は、備蓄を大事に使いながら、院内清掃に、ナノックススプレー、次亜塩素酸空間洗浄、イータックを併用しています

<フェイスシールド・予防衣>

フェイスシールド・予防衣(布製を、ガウンテクニックを駆使して、午前・午後、洗濯をして使っています。)に関しても、フェイスシールドは、当院購入直後に、販売停止に陥りました。当院のフェイスシールドは、アルコール・専用洗浄液での洗浄で使いまわしができ、付け替え式でシールドの交換ができるので、透明度が落ちくれば、シールドをつけかけることで、長く使うことができます。予備シールドの手持ちは、十分あるので、当面大丈夫です。

<次亜塩素酸水>

次亜塩素酸水も、本当にありません。濃度の失敗があると怖いので、当院は、原液をそのまま使えるタイプに限定しているのでなおさらです。高いですが、定期購入できるところと契約して、納入してもらっていますが、足りない分を、高くてもいいので購入しようと、苦心しています。毎日のように、ネット徘徊していると、時折、まだ、買えることがあります。

<キャップ>

今回のウイルスは、マイクロエアゾルを形成するということで、職員さんに、キャップを着用してもらうようにしました。最初の2箱は、思いついた時に、すぐに買えたのですが、考えてみれば、毎日消費していくと、あっという間に2箱はなくなるので、追加注文しようとしたら販売停止になっていました。これはいかん!と布製キャップを、洗い替えも含めて購入し、その内訳は、髪の多い人用、利便性などから、3種類を購入していて、特によかったものを追加購入しようと、3日後にみたら、販売停止になっていました。

 

少し先、少し先に、必要なものを考えて、手にいれているのですが、追加をかけようとすると、たった、数時間、翌日、数日先には、<販売停止>になっています。販売停止になるときは、あらゆる<医療系ネット販売・医療卸・各メーカー・価格>を問わず、その種類が、一気になくなります。

 

当院などは、クリニックとしても小規模ですから(規模にしては、スタッフは多いと言われていますが)、どの物品も、<1箱>手に入れば、随分と、<助かる>感があります。もしも、布製などで代替えできるなら、午前・午後の洗濯で対応もできます。でも、これが、コロナを診療している病院や、多数の患者さんを受け入れている基幹病院になれば、必要な数も膨大、手配数がすくなければ、使用できる医師・部署のトリアージも必要になってきます。大きな病院ほど、医師の感染者がでてくるのは、決して、コロナ患者さんを診ているからだけではなく、感染予防対策の徹底が、不可能な状況もあります。

 

医療機関は、どこも、コロナウイルスリスクを抱えています。一番最初に何気ない症状で受診されるのは、一般クリニック。実は、最前線です。一般クリニックで疑いのある人は行く先は、基幹病院。かなり、コロナリスクが高くなります。一般クリニックでの発熱などで診療を受けれなかった人たちが向かうのは、一般病院や救急受診先。どこも、それぞれに、感染予防をする必要性があります。それなのに、物品のなさが、医療関係者を、サバイバルに追い込んでいます。どんどん、物がなくなり、その種類が増えていっています。

 

医療崩壊なんて、もう、おきてます。重症者の受け入れをできないことだけが、医療崩壊ではありません。

 

こんなにも、日本に医療体制は、脆弱だったのか。国民皆保険により、日常的な医療レベルが非常に高く、医療崩壊なんていう事態とは無縁だった日本。SARSにも、MARSにも大きな打撃を受けずにやり過ごせた日本。今回の、世界的震災レベルの医療的危機へ経験が、今後の日本医療体制を大きくかえていくでしょう。

 

緊急事態宣言の効果がでてくるのは、4月下旬です。収束に向かってほしいです。