本年11月30日に配信されたネット記事ですが・・・・。
「ダイエット目的で糖尿病治療薬を処方することは違法ではないのか」。西日本新聞「あなたの特命取材班」にこんな声が届いた。一部の美容クリニックなどで、やせたい願望のある人に医師が糖尿病治療薬を処方するケースが問題になっている。健康被害の報告もあり、日本医師会(日医)や関連学会が目的外処方(適応外処方)として注意を呼びかけているが、公的医療保険の対象外の自由診療で行われているため規制が難しく、全容が把握しにくいのが現状だ。
ダイエット用に使われているのは「GLP-1受容体作動薬」。食べ物を口にすると小腸から分泌されるホルモンと同じ働きをする薬で、インスリンの分泌を促進し、血糖値を下げ、食欲を抑える作用があるという。国内では2型糖尿病患者の治療薬として、注射薬と経口薬が承認されている。 ネット相談を有料で受けている福岡県大木町の薬剤師(34)は、ダイエット目的で経口薬を購入した女性から「長く飲み続けて大丈夫か」と尋ねられた。女性はオンライン診療を受けて処方されたが、看護師とのやりとりがほとんどで、医師の診察は形式的なものだったという。薬剤師は「健康な人が飲み続けた場合にどんな影響が出るかデータがなく、飲むのは勧められない」と返答をした。
国民生活センター(東京)には、このような糖尿病治療薬をダイエット目的で処方する美容医療に関する相談が複数寄せられている。50代男性は計44万円分の薬を購入したものの、「やせることはなく、胸焼けのような症状が続く」と健康被害を訴えたという。
* 糖尿病治療薬の目的外使用が目立つようになった背景には、新型コロナウイルス流行の余波でオンライン診療が普及し、医療機関にかかりやすくなったことがある。ネット上には、美容クリニックなどの「ストレスなくやせられる」「メディカルダイエット」といった宣伝文句がはんらん。日医などによると、クリニックのウェブサイトから申し込むケースが多く、オンラインで薬の説明や持病などの質問を受け、後日、薬が送られてくる。 こうした事態を重く見た日本糖尿病学会は2020年夏に「不適切な薬物療法で患者さんの健康を脅かす危険がある」などとする見解を表明。日医も20年と22年に定例記者会見で「治療の目的を外れた薬の使い方で医の倫理に反する」と指摘した。この薬を製造販売するノボノルディスクファーマ(東京)など4社も適正使用を呼びかけた。 ただ、消費者のニーズと提供する医療機関があれば成立する自由診療のため、違法ではない。日医や学会も医師を指導したりすることは難しく、適正使用をお願いし続けるしかない。
「痩身(そうしん)は一大ジャンル。ニーズがあるからには、提供するクリニックも必要だ」。福岡市の美容クリニックの医師は言い切る。「GLP-1ダイエット」と称し注射薬と経口薬を備えている。問い合わせは毎日5~10件。オンライン診療も受け付けており「きちんと施術内容を説明し、気になることがあれば、いつでも来院してもらう。健康被害やトラブルはこれまで聞いていない」と説明する。 ただ薬の値段は医療機関が自由に決められ、国が定める保険診療の薬価より大幅に高いケースもある。この福岡市のクリニックも1錠約千円で、保険診療の薬価の約3倍だった。
全くの私見ですけど、この薬を処方している内科医としては、肥満のない痩身目的には向かない、肥満対策には向いている薬だとは思います。ただ、内服の場合は、服用方法が非常に難しく(条件が厳しく)、注射剤・内服剤を通して副作用の発現はあります。(急性膵炎や、胃腸症状)。一番適応があるのは、内科医にかかっている<肥満のある糖尿病患者さん>だと思います。
★肥満のない美容的痩身目的で自費診療を受けて体調不良がでた場合、通常の保険診療でこの薬を使い慣れている内科クリニックでは診療してもらえないことが通常です。そこも考えておく必要があると思います。
★リスクもわかってやるなら、国の承認が通っていて、しかも作っているメーカーもグローバル―メーカーの薬なので、メディカルダイエットの中では安全性は高いと思います。(勧めているわけではないですよ。でも、もしも、どうしてもメディカルダイエットがやりたいなら、という意味です。)