実母が、末期すい臓癌でした。

私の母は、末期すい臓がんで亡くなっています。

享年68歳でした。

 

先生、内科医なのに、なぜ・・・と、思われる方のため、また、私がそう言われてしまうことは、母にとって本意ではないと思うので、その<なぜ?>にお答えしたいと思います。(やっと、10年たち、精神的に話せるところまできました)

 

母の両親(私の祖父母)は、祖父が92歳、祖母が100歳で、この世を去っています。

が、80代から認知症が二人ともでて、それはそれは、介護を担っていた家族は大変でした。

それをみていた母は、自分の子供たちが家族を作ったら、私の使命は終わり。

寿命のままに生きたい、という思いを、強くもっていました。

ですので、子供3人が、結婚し、子供ができ、家族を作れたと母が思ったときから、一切の<癌を探すための検査>というものは、受けなくなりました。

もちろん、ドック受診は、勧めましたが、頑として、拒否してきました。

 

でも、ピンピンコロリを目指していた母は、きちんと、高血圧の治療は几帳面に受けていましたし、健康管理にも、食事・運動、めちゃくちゃまじめな人だったので、それはそれは、きちんとしていました。

 

おなかが痛い、と、私に相談が来た時には、胃でも荒らしたの?主治医に相談したら、という話をしたら、末期すい臓がん、手術適応なし、でした。

 

母の主治医は、内科医ではなかったです。救急科の先生が、内科診療をされていて、もちろん、高血圧症は診て下さっていたと思いますが、内科医は、常に、生活習慣病をみながらも、全身状態把握、特に、癌がないかを気にしながら診療していきますが、そういうフォローがなかったのだと思います。これが、本当に納得できなくて、私は、基本的には、内科疾患以外は診ないことに決めています。専門科の先生が診れば見落としのないことも、私が診たら、レアケースや、当たり前のことを、見落とすかもしれません。そんなことを、患者さんにできません。

 

話は戻りますが、母は、自分の人生に満足し、そして、寿命を全うできたこと、認知症になって子供の世話になることを絶対によしとしなかったのでそうならずに済んだことに、安堵していましたのでよかったのですが、遺された方は、寂しさと悔恨でたまりませんよ。今でも、<私にこんなに寂しい思いをさせること、わかってた?>と言いたいですね。でも、こうやって、いつまでも、<お母さん、お母さん>と、言われたかったのかもしれません。子供命の人でしたから。

 

それぞれの疾患に、それぞれの専門科があります。お手数でも、きちんと、専門科の先生に診てもらいましょう。

あと、癌は、超早期にみつかれば、ほとんどの場合、完治は可能、社会復帰は可能です。検査をきちんと受けましょう。

それと、<あとは、寿命のとおりでよい>、と、思えば、いろんな検査を受けないという選択も悪くはないですが、認知症になって子供の世話になっても、それは、子供に寂しさを味わわせないための準備、と、思いましょう。

 

私は、そうですね、認知症になっても、長生きを目指して、子供に<ばばぁ、手間かけやがって、でも、大往生やったな>を、目指そうと思います。