医者が家族を看取るとき

 

関本剛先生が、亡くなりましたね。

 

お母様の寄稿 ☜クリック を読みながら、本心から、そのお気持ちがわかります。

 

医者が、身内が末期がんを宣告された時の心境は、まったくをもって、一般の方と同じです。

まさに、奈落の底に叩き落された気持ち、ですね。

そんな動揺をしっかり受け止めるなんてできなくて、ひたすら、落涙、とめどなくあふれる涙がとまらない、ということになります。

 

そして、頭ではわかっている。この癌の予後はどの程度か、この先の展開も、そして、経過の中で、もう、最期が近づいてきていることも。

 

でも、客観的に見れないんです。まだまだ、まだまだ、まだまだ、このまま生き続けてくれるんじゃないか、末期癌なんて嘘じゃないか、なんか、なんか、なんか、なんか、なんか、できることがあるんじゃないか。

 

おいおい、冷静になれよ、こんな患者さん、看取ってきたじゃない、これは、通常のこの疾患の経過でしょう、まだまだなんてあるわけない、なんかなんかあるわけない。

 

でも、この身内としての思いと、医者としての知識との間で激しく葛藤する経験は、医師としては、この上もなく貴重で、格段医師としての使命感をあげてくれます。

 

慢性疾患で通院しておられる患者さんの早期がん発見の手助けは、かかりつけ医の大きな責務だと思っています。