★癌の告知★について思うこと

私が研修医だった20年以上前は、癌の治療はほとんどを

入院生活で過ごす、まさに<闘病生活>で、そんなつらい

治療を乗り切るために、<告知をしない、治ると希望を与える>

ことがとても大事でした。

 

<先生、いつ帰れますか?><本当は癌じゃないんですか>と

問うてくる患者さんを、ごまかしながら治療を受けて頂くという

医者にも家族にも患者さんにもつらいけど、治療を受けてもらいたい、

一日でも生きててほしい、という思いでいっぱいでした。

 

しかし、時代が進み、癌治療も自宅で加療できることが多くなり

<癌を本人に告知して、きちんと取り組んでいただく>ということが

主流となり、それは、患者さんを恐怖と絶望にだけ陥れるわけでは

ないほどの治療フォローが確立されたからであって、そうなると、

患者さんは、たとえ末期で余命が限られていても、そのなかで、伝えたいこと

やりたいこと、最期の輝きのある終焉を迎えることができることになり

時代が進んだなぁ、医学の進歩を実感するな、と、本当に思います。

 

医療の進歩はすさまじく、私が研修医をしているときに、画期的な

新薬が続々と発売になり、1つ上、2つ上の、たった、それだけの差しか

ない先輩方から、お前たちの研修医生活がうらやましい、と言われました。

 

何かと不祥事で世間を騒がせる薬品業界ではありますが、薬品開発の

先にある素晴らしい世界を構築してくれているのも、また、薬品業界。

お薬を、本当に充実して投薬できる日本の力量に感嘆です。