身近な人を亡くすと、<死>への恐怖は、ものすごく薄らぐ。
不思議と思うかもしれないが、<死んだ人とは2度と会えない>
だから、自分が死んだ先にいる、その人の存在(と、もう一度会いたいという思い)が、
死への恐怖を和らげることになる。
<死ぬ>ということに対して、遺していくことの多さに抗う人もいれば
人生に満足してなすがままの状態で素直な気持ちで迎える人もいる。
死に向かう人の心によって、死を迎えるまでの時間のクオリティを高める
ということを、もっと、医療者は、真剣に取り組む必要があると思っている。
末期の緩和医療ではなく、癌や重篤な病状でも、病と共存しながら、変わらぬ
日常、徐々に弱りながらも、<日常>というものをとても大事に思う患者さんが
いるということを、もっと、加療するサイドが理解し、死までの時間の最優先事項、
死への心構えによって、患者さんの意思を尊重するべきだと思う。
ついつい、加療する側は、<治す>ことに、<少しでも病気をやっつけること>に
目がいきがちだが、<生活>を成り立たせるためにどうするか、が、本当は
最優先事項なのだと、わかってほしい。